大きな大きな。

 家族ってすごいなぁとたまに思う。ふと思う。一人暮らしを始めてから特にそう思うようになった。親のありがたみもよくわかった。昔は、うっとおしいなぁって思ったこともあったけど、今は親は本当にすごいなぁと思う。大きな、不思議な力を持ってると思う。

 久しぶりに実家に帰ってきた。こないだ体調を崩してから無性に帰りたくなって。

  彼氏はいないけど友達はいる。楽しく笑いあえるし、面白い子もいるし、頼りになる子もいるし、だいすきな親友もいる。尊敬する先輩もいて、かわいい後輩もいる。私の自慢といえば、人に恵まれて生きてきていることだ。それなのに最近、ちょっと人に対して気になることが見えやすくて、なんだかそれが寂しくて、1㎜くらいの隙間から冷たい風がふーっと入ってくる感じ。たぶん、疲れているんだろうなと思う。「仲のいい友達」にも、もちろん遠慮は必要だし、ぐっと我慢する場面はある。「友達」には、笑顔でいなきゃいけないときがたくさんある。やっぱりたぶん、ちょっと疲れたんだろうなと思う。最近、初対面の人といきなり、けっこうなスピードで仲良くしなきゃいけない場面が多かった。初めて行った合コン、それから、内定者の集まり。自分を「作る」わけではないけれど、いつもの本当の自分を出せるまでは時間がかかる。「人」は好きだけど、実は同年代の人は、私よりキラキラしてるように見えるから、少し気後れする。年上の方には本来の素直な自分を出しやすいのはどうしてだろう。だから後輩でいることが好きだったりする。

 自分をアピールするのは苦手だ。アピールしなきゃいけない状況に疲れたし、田舎育ちの私には都会はやっぱり少し窮屈でややこしい。たまに帰りたい波がくる、その波が来たみたいだから、授業のない今のうちに帰ってみた。稲刈りの終わった田んぼのにおい、家のにおい、親の声。お盆に帰ってきたのにすごく懐かしく感じて心が安らいだ気がする。

 おばあちゃんのおうちの猫と遊ぶ。誘惑に負けそうだから実家に置くようにしている、だいすきな嵐のDVDを見る。好きなシーンを見る。最近のお気に入りは、嵐フェス13のa Day in Our Life。楽しいライブなのになぜか涙が出る。でもそうして見ているうちにだんだん元気になる。家族と話す。いろんな話をする。友達には自慢ぽくなるからあまり言えなかった、頑張ったことも聞いてもらう。お母さんのご飯を食べて、足ののばせるお風呂にゆっくり浸かって、ベッドじゃなくて布団で眠る。「いつもの私」「本当の私」…そんなの難しい、突き詰めて考えるのはまた今度。だけど、やっぱり、こうやってたまに少し甘えて実家に帰ってくるのは、「私」にとって、必要不可欠なことなんだと思う。家族の力はすごい。

 まだ、大きな大きなあったかいものに守られて、生きているんだと改めて実感する。ありがたい。安心する。一人じゃない。社会人になる春を前に自立しようと頑張ってる場面ばかりで、少し疲れたんだろう。私はまだ未熟だ。だからもっと一生懸命頑張る、だからたまにこうやって力を抜いていく。

 守ってくれてるものに感謝しながら、また都会で頑張ってみようと思う、踏ん張っていきたい。大きな大きな大きな世界とか社会とか、難しいことはいっぱいあるけど、私にも、私を必要としてくれて、守ってくれて、それから守っていきたい、大きな大きなものがあるから、って。

 

なんちゃって。おしまい。